第一種衛生管理者の勉強を進めていて、「暗記問題なら解けるのに、計算が出た瞬間に手が止まる」「換気量と二酸化炭素濃度の数字を、どの順番で式に入れればよいのか分からない」と感じていませんか。
第一種の公表問題は、関係法令や有害業務の知識問題に注目が集まりやすい一方、労働衛生の中には、与えられた数値から答えを導く問題もあります。計算問題は、公式を丸暗記するよりも「何を上限として、何が増えると悪化するのか」を理解すると、選択肢を落ち着いて絞れるようになります。
結論からいうと、まず優先して対策したいのは、室内の二酸化炭素(CO2)濃度・外気濃度・換気量・在室人数を結び付ける計算です。公益財団法人安全衛生技術試験協会が掲載する令和8年4月公表問題の第一種衛生管理者試験でも、事務室のCO2濃度を基準以下に保つための在室人数を求める問題が出ています。
この記事でできるようになること
- 最新の公表問題で確認できる計算問題の型を理解する
- CO2濃度の「ppm」を式に入れるときの考え方が分かる
- 換気量・在室人数・CO2発生量の3パターンを解ける
- 本番で単位ミスと引っかけ選択肢を避ける手順を身に付ける
第一種衛生管理者で計算問題は出る?公表問題で確認する
計算を使って答えを選ぶ問題は、実際の公表問題で確認できます。安全衛生技術試験協会が2026年4月1日に掲載した「令和8年4月公表問題(第一種衛生管理者)」の問33では、事務室の気積、在室者1人あたりのCO2呼出量、外気CO2濃度、室内CO2濃度の上限、換気量が与えられ、在室できる最大人数を計算する形式が掲載されています。
この問題は「数字を覚えているか」だけでは解けません。室内のCO2は、人がいるほど増え、換気が多いほど薄まるという関係を式に落とす必要があります。逆にいえば、この一つの関係を理解すれば、数字を変えた類題にも対応できます。
公表問題を見るときの注意
協会の公表問題ページでは、掲載問題が実際の試験問題そのものではなく、出題された問題の一部を公表したものであること、また令和8年4月掲載分は令和7年7月から12月に実施された試験に基づくことが案内されています。出題範囲の確認に使い、丸暗記だけに頼らないことが大切です。
過去問全体を何年分解くべきか迷っている方は、先に第一種衛生管理者は過去問だけで合格できる?使い方と必要年数を確認して、計算問題を復習計画に組み込むと効率的です。
CO2濃度・換気量の計算は「増えた分」だけを見る
計算の核は、室内で許容できるCO2の増加分を求め、換気によって何人分の発生量を外へ出せるかを考えることです。外気にもCO2は含まれているため、室内の上限値そのものをそのまま使うのではなく、室内上限と外気濃度の差を使います。
最大在室人数を求める基本式
人数 = 換気量 ×(室内CO2上限 − 外気CO2濃度)÷ 1人あたりCO2発生量
ppmで与えられた濃度差は、式に入れる前に 1,000,000分の値 に直します。例:600 ppm = 0.0006
なぜ室内濃度から外気濃度を引くのか
換気で室内へ入ってくる空気がCO2ゼロなら、室内上限の数値だけで考えられます。しかし、実際の外気にはもともとCO2が含まれます。室内で人の呼吸によって追加できるのは、室内上限と外気濃度の差の部分だけです。
たとえば、室内上限が1,000 ppmで外気が400 ppmであれば、人体由来で許容できる増加分は600 ppmです。ここで1,000 ppmをそのまま使うと、許容人数を過大に計算してしまいます。本番で狙われやすいミスは、この「外気分を引き忘れる」パターンです。
ppmを小数に直すときの最短ルール
ppmは100万分率です。計算式では、600 ppmなら 600 ÷ 1,000,000 = 0.0006 と直します。ゼロの数で混乱する方は、「ppm差を出したら、最後に100万で割る」と手順を固定してください。
| 濃度差 | 式に入れる値 | 変換の見方 |
|---|---|---|
| 500 ppm | 0.0005 | 500 ÷ 1,000,000 |
| 600 ppm | 0.0006 | 600 ÷ 1,000,000 |
| 800 ppm | 0.0008 | 800 ÷ 1,000,000 |
例題1:最大在室人数を求める基本問題
最初は、公式公表問題と同じく「この換気量で何人まで在室できるか」を求める型を解きましょう。以下は理解用に作成したオリジナル問題です。
練習問題
ある事務室では、室内のCO2濃度を1,000 ppm以下に保ちたい。外気CO2濃度は400 ppm、換気量は450 m³/h、在室者1人あたりのCO2発生量は0.018 m³/hである。最大在室人数は何人か。
まず濃度差を求めます。
1,000 ppm − 400 ppm = 600 ppm = 0.0006
次に、換気量によって許容できるCO2量を求めます。
450 m³/h × 0.0006 = 0.27 m³/h
この0.27 m³/hが、人の呼吸によるCO2を受け止められる総量です。1人あたり0.018 m³/hなので、人数は次のように求められます。
0.27 ÷ 0.018 = 15人
答え:15人
計算の順序は「濃度差 → ppm変換 → 換気で許容できる発生量 → 1人分で割る」です。
例題2:必要な換気量を求める逆算問題
人数が先に決まっている場合は、必要な換気量を逆算します。公式を別物として覚える必要はありません。最大人数の式を、換気量について並べ替えるだけです。
練習問題
外気CO2濃度が400 ppm、室内上限が1,000 ppmの事務室に18人が在室する。1人あたりのCO2発生量が0.018 m³/hのとき、必要な換気量は何m³/hか。
18人が発生させるCO2量は、18 × 0.018 = 0.324 m³/h です。許容される濃度差は例題1と同じく、600 ppm、つまり0.0006です。
必要換気量 = 0.324 ÷ 0.0006 = 540 m³/h
答えは540 m³/hです。この型では、「人数が増えれば必要換気量も増える」という感覚を持っておくと、選択肢の桁が不自然なときに気付けます。18人いるのに数十m³/hしか必要ない、という答えは疑ってよいでしょう。
例題3:選択肢を速く絞る近似テクニック
本番では、正確な筆算の前に「人数はだいたい何人程度になるか」を見積もれると時間を節約できます。たとえば、換気量600 m³/h、濃度差600 ppm、1人の発生量0.018 m³/hなら、次の計算です。
600 × 0.0006 = 0.36、0.36 ÷ 0.018 = 20
選択肢が「10人、15人、20人、25人、30人」のように離れていれば、この計算は比較的短時間で処理できます。逆に、選択肢が近いときは、ppmの変換と小数点の位置をもう一度見直してください。
| 変化する条件 | 最大在室人数への影響 | 理由 |
|---|---|---|
| 換気量が増える | 増える | 人が発生させたCO2を多く排出できる |
| 外気CO2濃度が高くなる | 減る | 室内で追加できるCO2の余裕が小さくなる |
| 1人あたり発生量が増える | 減る | 同じ換気量で収容できる人数が少なくなる |
| 室内上限が低くなる | 減る | 許容できる濃度差が小さくなる |
計算問題で落としやすい4つのミスと対策
計算問題の失点原因は、複雑な数学よりも、単位と条件の読み違いです。計算が苦手な方は、以下の4点を毎回チェック欄として使ってください。
1. 室内上限から外気濃度を引かない
最も危険なのが、室内上限1,000 ppmをそのまま式に入れるミスです。外気が400 ppmなら、人が追加できる余裕は600 ppmです。問題用紙の余白に、最初に「上限 − 外気」と書いてから計算を始めましょう。
2. ppmを小数へ直し忘れる
600 ppmを「600」のまま掛けると、答えの桁が大きく崩れます。濃度差の右横に必ず「÷100万」とメモし、0.0006へ変換してから換気量を掛ける手順を固定すると防げます。
3. 最大人数で端数を切り上げる
最大在室人数を問われ、計算結果が15.8人となった場合、16人入れると上限を超えます。したがって答えは15人です。「最大何人まで」では、安全側に端数を切り捨てると覚えてください。
4. 気積など使わない条件に引っ張られる
問題文には複数の数値が含まれることがあります。与えられた条件がすべて計算に必要とは限りません。CO2の定常的な在室人数を問う型では、換気量、濃度差、1人あたり発生量が式の中心です。式を先に書いてから、必要な数字だけを拾う癖を付けましょう。
主語や例外の読み落としも不安な方は、第一種衛生管理者の引っかけ問題7選も合わせて解くと、計算以外の失点対策まで補えます。
計算問題を得点源にする3日間の練習方法
計算問題は、長時間勉強するよりも、同じ型を短期間で反復した方が定着します。以下の3日間だけでも、式を見て固まる状態から抜けやすくなります。
| 日 | やること | 目標 |
|---|---|---|
| 1日目 | 基本式を書き、例題1を数字を見ずに解き直す | 濃度差とppm変換を迷わず書ける |
| 2日目 | 人数を求める問題と換気量を求める問題を交互に3問解く | 求めるものに合わせて式を変形できる |
| 3日目 | 公表問題を時間を測って解き、ミス理由を1行で記録する | 本番の選択肢で時間をかけ過ぎない |
計算用のノートには、答えだけでなく「外気を引き忘れた」「ppm変換でゼロを間違えた」など、失点理由を残してください。次に直すべき行動が明確になり、同じ誤りを繰り返しにくくなります。
過去問演習に使う教材を整えたい方へ
計算問題は解説を読んで終わりにせず、類題を繰り返して初めて定着します。テキストと問題集の選び方を整理したい方は、教材比較も参考にしてください。
まとめ:計算問題はCO2の「濃度差」と「単位変換」で攻略できる
第一種衛生管理者の計算問題対策では、まずCO2濃度と換気量から在室人数を求める型を押さえましょう。令和8年4月公表問題でも確認できる形式であり、勉強の優先度を付けるうえで無視しにくい論点です。
解き方の要点は、室内上限から外気濃度を引いて「許容される増加分」を出し、ppmを100万分率に直し、換気量で処理できるCO2量を1人分の発生量で割ることです。式を一つ理解して、人数を求める問題と換気量を逆算する問題を繰り返せば、計算問題は怖い分野ではなく、手順通りに取れる得点源へ変わります。
参考にした公式情報
- 公益財団法人安全衛生技術試験協会:第一種衛生管理者試験 公表問題(2026年5月24日確認)
- 同協会:令和8年4月公表問題(第一種衛生管理者)(問33の出題形式を確認、2026年5月24日確認)

コメント